Firefox 145 release notes for developers (Stable)
このページでは、開発者に影響する Firefox 145 の変更点をまとめています。 Firefox 145 は、米国時間 2025 年 11 月 11 日 にリリースされました。
ウェブ開発者向けの変更点一覧
>HTML
変更なし。
CSS
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text-autospaceプロパティをサポートしました。これは、異なる文字体系の文字の間の空白を自動調整できます (Firefox bug 1981086、Firefox bug 1869577)。 -
math総称フォントファミリーを、font-familyプロパティの値としてサポートしました。これにより、数式で適切なフォントを使用できます (Firefox bug 1788937)。 -
<select>の内部の<hr>で、<select>メニューに区切り線を表示できる機能を実装していました。 これを Android 版 Firefox でもサポートしました (Firefox bug 1867045、Firefox bug 1830909)。
JavaScript
- Firefox で
Atomics.waitAsync()静的メソッドをサポートしました。これは、共有メモリの位置の値に基づいてスレッドを同期することができます。 このメソッドは値を非同期的に待機して、操作の結果を表すオブジェクトを返します。このメソッドはブロッキングせず、メインスレッドで使用できます (Firefox bug 1884148)。
HTTP
Integrity-PolicyおよびIntegrity-Policy-Report-OnlyHTTP ヘッダーを、スクリプトリソースでサポートしました。これにより、ウェブサイトが スクリプト の サブリソース完全性の保証 を強制できます。 ただし、endpointsキーは未サポートです (違反はコンソールに記録されます)。 (Firefox bug 1984973)
セキュリティ
- Bounce Tracking Protection (BTP) が有効なとき、デフォルトで "stateless" モードで動作するようになりました。 "stateless" モードでは、ブラウザーは "bounce" の一部であるサイトでステート情報 (Cookie など) を設定するサイトだけにフラグをつけるのではなく、"bounce" の一部である すべて のサイトにフラグをつけます。BTP がどのように動作するかについて、詳しくは Bounce tracking mitigations をご覧ください (Firefox bug 1990831)。
API
ToggleEventインターフェイスのsourceプロパティをサポートしました。<button>などの HTML 要素によって ポップオーバー を表示したり閉じたりする動作が発生すると、ポップオーバーを動作させた要素がイベントのsourceプロパティに入ります (Firefox bug 1968987)。HTMLElement、MathMLElement、SVGElement、CSSStyleRuleのstyleプロパティの値、およびWindow.getComputedStyle()メソッドの戻り値がCSSStylePropertiesのインスタンスになりました。以前はCSSStyleDeclarationのインスタンスが返りました (Firefox bug 1989925)。
Media、WebRTC、Web Audio
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RTCEncodedVideoFrameおよびRTCEncodedAudioFrameが シリアライズ可能オブジェクト になりました。また、RTCEncodedAudioFrame()およびRTCEncodedVideoFrame()コンストラクターによる複製をサポートしました。これらの変更によりフレームを複製して、ワーカーとメインスレッドの間で共有することが可能になります (Firefox bug 1868223、Firefox bug 1975032)。 -
Matroska コンテナー (
.mkv) で、もっとも一般的に使用されるコーデックをサポートしました: AVC、HEVC、VP8、VP9、AV1、AAC、Opus、Vorbis (Firefox bug 1991752)。
WebDriver への適合 (WebDriver BiDi, Marionette)
WebDriver BiDi
emulation.setUserAgentOverrideコマンドを実装しました。これはブラウザーが使用するユーザーエージェント文字列をコンテキストのセット、ユーザーコンテキスト、あるいはグローバルに対してオーバーライドできます (Firefox bug 1987935)。browsingContext.downloadEndイベントを実装しました。これはダウンロードが終了したときに (成功・失敗のどちらでも) 発生します (Firefox bug 1970293)。network.beforeRequestSentのdestinationプロパティを、トップレベルナビゲーションではdocumentに更新しました (Firefox bug 1985552)。browsingContextのダウンロードイベントで、以前のbrowsingContext.navigationStartedイベントと同じナビゲーション ID を再使用するように更新しました (Firefox bug 1986938)。- ネットワークデータ収集で、レスポンスのボディに含まれている ASCII 以外の文字が適切にエンコードされない不具合を修正しました (Firefox bug 1986022)。
network.getDataコマンドで、レスポンスボディが空になるリクエストが失敗する不具合を修正しました (Firefox bug 1986025)。- 一部の
networkイベントで、ブロックされていない場合でもブロックされたとするフラグが設定される不具合を修正しました (Firefox bug 1989919)。
アドオン開発者向けの変更点一覧
cookies.set()で作成した Cookie が検証されるようになり、無効な Cookie は拒否されます。この変更は Firefox 142 から Nightly ビルドに限って実装していました (Firefox bug 1976509)。
実験的なウェブ機能
以下の機能は Firefox 145 で導入しましたが、デフォルトで無効です。
これらを実験するには、about:config ページで適切な設定項目を検索して true に設定してください。
実験的機能 のページで、さらに多くの機能を確認できます。
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CSS アンカー位置指定 (Nightly):
layout.css.anchor-positioning.enabledNightly ビルドで CSS アンカー位置指定 をデフォルトでサポートしました。これは要素を互いに結びつけることができます。 アンカー位置指定された要素は自身のサイズや位置を、結びつけられたアンカー要素のサイズや位置に対して相対的に設定できます (総合: Firefox bug 1988224、
position-area: Firefox bug 1924086、@position-tryカスタムフォールバック: Firefox bug 1962598)。 -
CSS モジュールスクリプト: (Nightly) および
layout.css.module-scripts.enabledCSS モジュールスクリプトをサポートしました。これは
importキーワードやtype="css"を設定したtypeimport 属性 を使用して、CSSStyleSheetのインスタンスとしてスタイルシートをスクリプトに読み込むことができます (Firefox bug 1720570)。 -
text-decoration-trim:
layout.css.text-decoration-trim.enabledCSS の
text-decoration-trimプロパティをサポートしましたが、現在はデフォルトで無効です。 これはテキストを重視してテキスト装飾の位置を短縮、延長または移動するために、text-decorationの始端や終端のオフセットを指定できます (Firefox bug 1979915)。 -
スクリプトの Trusted Types API (Nightly/早期 Beta):
dom.security.trusted_types.enabled早期ベータリリースで Trusted Types API を有効化しました (Firefox bug 1976656)。
以下の変更が含まれます:
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TrustedTypePolicyFactory、TrustedTypePolicy、TrustedHTML、TrustedScript、TrustedScriptURLインターフェイスを追加しました。また、WindowおよびWorkerGlobalScopeにtrustedTypesプロパティを追加しました。Element.innerHTMLやdocument.write()などの Injection sink interface を、文字列と同様にTrustedHTML、TrustedScript、TrustedScriptURLも渡せるように更新しました。Content-Security-PolicyHTTP ヘッダーのrequire-trusted-types-for、trusted-typesディレクティブおよび'trusted-types-eval'キーワードをサポートしました。 これらは、文字列に代わって Trusted types を強制すること、許可する特定のポリシーに名前をつけること、Trusted Types がサポートおよび強制されているときにeval()や同様の関数を使用可能にすることができます。
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Storage Access のヘッダー (Nightly):
dom.storage_access.headers.enabled.Sec-Fetch-Storage-AccessおよびActivate-Storage-AccessHTTP ヘッダーをサポートしました。これはStorage Access API を使用する作業を効率化できます (Firefox bug 1991688)。