Firefox 136 for developers

このページでは、開発者に影響する Firefox 136 の変更点をまとめています。Firefox 136 は、米国時間 2025 年 3 月 4 日 にリリースされました。

ウェブ開発者向けの変更点一覧

HTML

  • autocorrect グローバル属性は、編集可能なテキスト要素 (多くのテキスト型 <input> 要素、<textarea> 要素、contenteditable 属性を設定した要素) のオートコレクトを許可します。具体的なオートコレクトの動作は、ユーザーエージェントや OS に依存します (Firefox bug 1927977)。
  • contenteditable グローバル属性の値 plaintext-only は、要素は編集可能ですがリッチテキストフォーマットは無効であり、貼り付けられたテキストの書式が自動的に削除されることを示します (Firefox bug 1922724)。

CSS

JavaScript

HTTP

  • 新しいページにリダイレクトするページ更新後のリクエストで、(Referrer-Policy で許可されていれば) Referer HTTP ヘッダーが送信されるようになりました。また、ナビゲーションの後にリファラーの URL が document.referrer に設定されます。 ページ更新は Refresh レスポンスヘッダーや、マークアップにある同等の <meta> (たとえば <meta http-equiv="refresh" content="3;url=https://www.mozilla.org" />) で発生するでしょう。 同じページの更新はページ内のフラグメントへのナビゲーションと同じように扱われることに注意してください。ページを再要求しないため、Referer は送信されません (Firefox bug 1928291)。

API

Media、WebRTC、Web Audio

  • WebRTC で、AV1 コーデック を使用してエンコードした動画を送受信できるようになりました。 送信は、同一のソースから複数のバージョンを送信する方式 ("サイマルキャスト") とシングルキャストのどちらも使用できます (Firefox bug 1944878Firefox bug 1932065)。
  • WebRTC で、H264 コーデック を使用した画面共有動画のサイマルキャストをサポートしました (AV1、H264、VP8 をサイマルキャストで使用できます)。 なお、Android では H264 コーデックのハードウェアアクセラレーションが有効です (Firefox bug 1210175)。
  • WebRTC で Dependency Descriptor (DD) RTP ヘッダー拡張 をサポートしました。AV1、VP8、VP9 コーデックで使用します。 DD ヘッダー拡張はペイロードをエンドツーエンド暗号化 (E2EE) する状況などで、サイマルキャストストリームのコーデックに依存しない転送を可能にします (Firefox bug 1945261)。

WebDriver への適合 (WebDriver BiDi, Marionette)

一般

  • Firefox が、リモートエージェント用の WebSocket ポートの競合をより効率的に処理するようになりました。--remote-debugging-port コマンドライン引数で指定したポートを 5 秒以内に取得できなかった場合 (別の Firefox プロセスがすでにポートを使用しているときなど) は、Firefox はハングアップせずにシャットダウンします (Firefox bug 1927721)。

  • Marionette の WebDriver:Navigate コマンドや WebDriver BiDi の browsingContext.navigate で実行した HTTP スキーマを使用するナビゲーションを、自動的に HTTPS へアップグレードしないようになりました。これらのリクエストは、意図したとおりに HTTP を維持します (Firefox bug 1943551)。

WebDriver BiDi

  • session.subscribe がサブスクリプション ID を返すようになりました。これは以前サブスクライブしたイベントやコンテキストで元のサブスクリプションと同じものを正確に示すために session.unsubscribe で使用できます。これは特定のタブに限定したサブスクリプションなど、複数のサブスクリプションが存在するときの意図しない副作用を防ぎます (Firefox bug 1938576)。

    注記: 名前とコンテキストでイベントを削除する以前の方法は非推奨になり、将来のリリースで削除する予定です。

  • script.addPreloadScript コマンドで userContexts フィールドをサポートしました。このフィールドは、スクリプトが常に自動で読み込まれるコンテキスト (コンテナー) をクライアントが指定することを可能にします。これは、指定したユーザーコンテキストで開いた新しいブラウジングコンテキストも含まれます (Firefox bug 1940927)。

  • コンテキストが閉じられたときに、browsingContext.contextDestroyed イベントがすべての子コンテキストを含めて完全にシリアライズしたブラウジングコンテキストのツリーを返すようになりました (Firefox bug 1860955)。

アドオン開発者向けの変更点一覧

実験的なウェブ機能

以下の機能は Firefox 136 で新たに導入しましたが、デフォルトで無効です。これらを実験するには、about:config ページで適切な設定項目を検索して true に設定してください。実験的機能 のページで、さらに多くの機能を確認できます。

  • CSS hyphenate-limit-chars プロパティ: layout.css.hyphenate-limit-chars.enabledhyphenate-limit-chars CSS プロパティは、ハイフネーションを行う単語の最小の長さ、およびハイフンの前後の最小文字数を指定するために使用します (Firefox bug 1521723)。
  • Error.captureStackTrace(): javascript.options.experimental.error_capture_stack_traceError.captureStackTrace() 静的メソッドは、Error.stack プロパティとして与えられたオブジェクトにスタックトレース情報をインストールします。 主な用途は、Error インターフェイスから派生していない独自のエラーオブジェクトにスタックトレースをインストールすることです (Firefox bug 1886820)。
  • Clear-Site-Data: cache: privacy.clearSiteDataHeader.cache.enabledClear-Site-Data ヘッダーは cache および * ディレクティブと合わせて、ブラウザーのキャッシュを消去するために使用できます (Firefox bug 1942272)。
  • SVG アニメーション用の SVG <discard> 要素: svg.discard.enabled<discard> SVG 要素は、SVG が DOM に読み込まれてから経過した時間や特定のアニメーションが終了したなど、指定した要素とその子孫を DOM から削除すべききっかけを開発者が指定できるようにします。これは、不要になったアニメーション要素を破棄することで SVG ビューアーがメモリーを節約できます (Firefox bug 1069931)。
  • SVG パス API のメソッド: dom.svg.pathSegment.enabledSVGPathSegment インターフェイスで getPathData()setPathData()getPathSegmentAtLength() メソッドをサポートしました。これらのメソッドは、生の文字列データを解析することに代わって SVG のパスデータを処理する便利な手段を提供します (Firefox bug 1934525)。

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