WebSocketStream でクライアントを書く
非標準: この機能は標準ではなく、標準化の予定もありません。公開されているウェブサイトには使用しないでください。ユーザーによっては使用できないことがあります。実装ごとに大きな差があることもあり、将来は振る舞いが変わるかもしれません。
WebSocketStream
API は、プロミスベースのもうひとつの選択肢であり、クライアントサイドの WebSocket 接続の作成と使用にWebSocket を使用します。 WebSocketStream
は、ストリーム API を使用してメッセージの送受信を処理するため、ソケット接続はストリームの背圧を自動的に利用することができ(開発者による追加の操作は不要)、アプリケーションのボトルネックを回避するために読み取りまたは書き込みの速度を調整することができます。
この記事では、WebSocketStream
API を使用して WebSocket クライアントを作成する方法を説明します。
機能検出
WebSocketStream
API に対応しているかどうかを確認するには、次のようにします。
if ("WebSocketStream" in self) {
// WebSocketStream に対応
}
WebSocketStream オブジェクトの作成
WebSocket クライアントを作成するには、まず新しい WebSocketStream
インスタンスを WebSocketStream()
コンストラクターで作成する必要があります。最もシンプルな形では、WebSocket サーバーの URL を引数として使用します。
const wss = new WebSocketStream("wss://example.com/wss");
また、カスタムプロトコルや AbortSignal
を含むオプションオブジェクトを受け取ることもできます(接続の切断を参照)。
const controller = new AbortController();
const queueWSS = new WebSocketStream("wss://example.com/queue", {
protocols: ["amqp", "mqtt"],
signal: controller.signal,
});
データの送信と受信
WebSocketStream
インスタンスには opened
プロパティがあります。これは、WebSocket 接続が正常に開かれると、ReadableStream
と WritableStream
インスタンスを含むオブジェクトで履行されるプロミスを返します。
const { readable, writable } = await wss.opened;
これらのオブジェクトに対して getReader()
と getWriter()
を呼び出すと、それぞれ ReadableStreamDefaultReader
および WritableStreamDefaultWriter
が返されます。これらは、それぞれソケット接続の読み取りと書き込みに使用できます。
const reader = readable.getReader();
const writer = writable.getWriter();
ソケットへデータを書き込むには、 WritableStreamDefaultWriter.write()
が利用できます。
writer.write("My message");
ソケットからデータを読み込むには、ストリームが終了するまで、ReadableStreamDefaultReader.read()
を継続的に呼び出すことができます。ストリームが終了すると、done
が true
になります。
while (true) {
const { value, done } = await reader.read();
if (done) {
break;
}
// Process value in some way
}
ブラウザーは必要に際して背圧を適用することで、クライアントがデータを受信および送信する速度を自動的に制御します。クライアントが read()
できる速度よりも速い速度でデータが到着している場合、基盤となるストリーム API がサーバーに背圧をかけます。さらに、write()
操作は安全に行える場合にのみ実行されます。
接続の切断
WebSocketStream
により、以前に WebSocket
の close
および error
イベントで利用可能だった情報は、closed
プロパティで利用できるようになりました。これは、終了コード(CloseEvent
ステータスコードの完全なリストを参照)とサーバーが接続を終了した理由を示す理由を含むオブジェクトで履行されるプロミスを返します。
const { code, reason } = await wss.closed;
前述の通り、WebSocket 接続は AbortController
を使用して終了することができます。必要な AbortSignal
は、WebSocketStream
コンストラクターの作成時に渡され、必要に応じて AbortController.abort()
を呼び出すことができます。
const controller = new AbortController();
const wss = new WebSocketStream("wss://example.com/wss", {
signal: controller.signal,
});
// しばらく後
controller.abort();
他に、WebSocketStream.close()
メソッドを使用して接続を閉じることもできます。これは主に、カスタムコードや理由を指定したい場合に利用されます。
wss.close({
code: 4000,
reason: "Night draws to a close",
});
メモ: 使用するサーバーの設定やステータスコードによっては、サーバーが、終了理由に適した有効なコードを優先して、カスタムコードを無視することがあります。
完全なサンプルクライアント
WebSocketStream
の基本的な使い方を示すために、サンプルクライアントを作成しました。記事の一番下に全リストがありますので、以下の説明と合わせてご覧ください。
メモ: この例を動作させるには、サーバーコンポーネントも必要です。WebSocket サーバーを JavaScript (Deno) で書くで説明されている Deno サーバーと連携するようにクライアントを書きましたが、互換性のあるサーバーであればどれでも構いません。
デモの HTML は以下の通りです。情報的な <h2>
と <p>
要素、初期状態では無効になっている WebSocket 接続を閉じるための<button>
、および出力メッセージを書き込むための <div>
があります。
<h2>WebSocketStream Test</h2>
<p>Sends a ping every five seconds</p>
<button id="close" disabled>Close socket connection</button>
<div id="output"></div>
次に JavaScript です。まず、出力先の <div>
と終了タグの <button>
の参照を取得し、メッセージを <div>
に挿入するユーティリティ関数を定義します。
const output = document.querySelector("#output");
const closeBtn = document.querySelector("#close");
function writeToScreen(message) {
const pElem = document.createElement("p");
pElem.textContent = message;
output.appendChild(pElem);
}
次に、WebSocketStream
を検出する if ... else
構造を作成し、対応していないブラウザーに対して情報メッセージを出力します。
if (!("WebSocketStream" in self)) {
writeToScreen("Your browser does not support WebSocketStream");
} else {
// supporting code path
}
補助的なコードパスでは、まず WebSocket サーバーの URL を含む変数を定義し、新しい WebSocketServer
インスタンスを構築します。
const wsURL = "ws://127.0.0.1/";
const wss = new WebSocketStream(wsURL);
メモ: 実際のアプリケーションでは、安全な WebSocket (wss://
) を使用するのが最善の方法です。しかし、このデモではローカルホストに接続しているため、例を動作させるには安全ではない WebSocket プロトコル (ws://
) を使用する必要があります。
私たちのコードの大部分は start()
関数内に含まれており、私たちはこの関数を定義し、すぐに呼び出します。opened
のプロミスを待ち、それが履行された後に、接続が成功したことを読み手に知らせるメッセージを書き込みます。そして、ReadableStreamDefaultReader
および WritableStreamDefaultWriter
のインスタンスを返された readable
および writable
から作成します。
次に、start()
として、サーバーに "ping" メッセージを送信し、"pong" メッセージを受信する関数を作成し、それを呼び出します。関数本体では、wss.opened
プロミスを待ち、その履行値からリーダーとライターを作成します。ソケットが開いたら、そのことをユーザーに通知し、Close ボタンを有効にします。次に、ソケットに "ping"
値を write()
し、そのことをユーザーに通知します。この時点で、サーバーは "pong"
メッセージで応答します。応答の read()
を待ち、ユーザーに通知します。その後、5 秒のタイムアウト後にサーバーに別の "ping"
を送信します。この動作を繰り返すことで、 "ping"
/"pong"
のループが延々と続きます。
async function start() {
const { readable, writable } = await wss.opened;
writeToScreen("CONNECTED");
closeBtn.disabled = false;
const reader = readable.getReader();
const writer = writable.getWriter();
writer.write("ping");
writeToScreen("SENT: ping");
while (true) {
const { value, done } = await reader.read();
writeToScreen(`RECEIVED: ${value}`);
if (done) {
break;
}
setTimeout(async () => {
try {
await writer.write("ping");
writeToScreen("SENT: ping");
} catch (e) {
writeToScreen(`Error writing to socket: ${e.message}`);
}
}, 5000);
}
}
start();
メモ: setTimeout
関数は、アプリケーションがストリームを閉じた後に書き込みを行おうとした場合に発生する可能性のあるエラーを処理するために、write()
呼び出しを try...catch
ブロックで囲みます。
WebSocket 接続が閉じられた場合、closed
プロミスが履行されることで通知されるように、コードと理由をユーザーに通知するプロミススタイルのコードセクションを追加しました。
wss.closed.then((result) => {
writeToScreen(
`DISCONNECTED: code ${result.closeCode}, message "${result.reason}"`,
);
console.log("Socket closed", result.closeCode, result.reason);
});
最後に、コードとカスタムの理由を指定して、close()
メソッドを使用して接続を閉じるイベントリスナーを Close ボタンに追加します。この関数は Close ボタンを無効にもします。接続がすでに閉じられた後は、ユーザーにボタンを押させたくないからです。
closeBtn.addEventListener("click", () => {
wss.close({
code: 1000,
reason: "That's all folks",
});
closeBtn.disabled = true;
});
完全なリスト
<!doctype html>
<html lang="en">
<head>
<meta charset="utf-8" />
<title>WebSocketStream Test</title>
</head>
<body>
<h2>WebSocketStream Test</h2>
<p>Sends a ping every five seconds</p>
<button id="close" disabled>Close socket connection</button>
<div id="output"></div>
<script>
const output = document.querySelector("#output");
const closeBtn = document.querySelector("#close");
function writeToScreen(message) {
const pElem = document.createElement("p");
pElem.textContent = message;
output.appendChild(pElem);
}
if (!("WebSocketStream" in self)) {
writeToScreen("Your browser does not support WebSocketStream");
} else {
const wsURL = "ws://127.0.0.1/";
const wss = new WebSocketStream(wsURL);
console.log(wss.url);
async function start() {
const { readable, writable, extensions, protocol } = await wss.opened;
writeToScreen("CONNECTED");
closeBtn.disabled = false;
const reader = readable.getReader();
const writer = writable.getWriter();
writer.write("ping");
writeToScreen("SENT: ping");
while (true) {
const { value, done } = await reader.read();
writeToScreen(`RECEIVED: ${value}`);
if (done) {
break;
}
setTimeout(() => {
writer.write("ping");
writeToScreen("SENT: ping");
}, 5000);
}
}
start();
wss.closed.then((result) => {
writeToScreen(
`DISCONNECTED: code ${result.closeCode}, message "${result.reason}"`,
);
console.log("Socket closed", result.closeCode, result.reason);
});
closeBtn.addEventListener("click", () => {
wss.close({
code: 1000,
reason: "That's all folks",
});
closeBtn.disabled = true;
});
}
</script>
</body>
</html>