AudioParam: value プロパティ

現在の時刻におけるパラメーターの値を示す浮動小数点の値 (Number) です。この値は minValue および maxValue プロパティで指定された値の間になります。

内部的に value を格納するために使用されるデータ型は単精度（32 ビット）の浮動小数点数ですが、 JavaScript では 64 ビットの倍精度浮動小数点数を用います。そのため、 value プロパティから読み込んだ値が、常に設定した値と一致するとは限りません。

この例を考えてください。

const source = new AudioBufferSourceNode(/* … */);
const rate = 5.3;
source.playbackRate.value = rate;
console.log(source.playbackRate.value === rate);

ログ出力は false になります。これは、再生レートのパラメーターである rate が 5.3 に最も近い 32 ビット浮動小数点数に変換され、5.300000190734863 となったためです。解決策の 1 つは、 value を設定する際に、指定した 64 ビットの JavaScript 値に相当する単精度の値を返す Math.fround() メソッドを使用することです。

const source = new AudioBufferSourceNode(/* … */);
const rate = Math.fround(5.3);
source.playbackRate.value = rate;
console.log(source.playbackRate.value === rate);

この場合、ログ出力は true になります。

AudioParam の value は固定されることもあれば、時間とともに変化することもあります。これは value ゲッターによって反映され、音声レンダリングエンジンの最新のレンダリングクォンタム（音声バッファーが処理され更新される瞬間）時点でのパラメーターの値を返します。音声バッファーが処理されるだけでなく、それぞれのレンダリングクォンタムは、現在の時刻と確立された時間ベースのパラメーターの値変更が指定された場合、必要に応じてそれぞれの AudioParam の value を更新します。

パラメーターを最初に作成した時、その値は AudioParam.defaultValue で指定された既定値に設定されます。これは、 0.0 秒の時刻におけるパラメーターの値であり、値が変更される最初のレンダリングクォンタムまで、パラメーターの値のままです。

レンダリングクォンタムの間、ブラウザーはパラメーターの値を管理するために以下のことを行います。

• value セッターが使用されてた場合、パラメーターの値は指定された値に変更されます。
• 現在の時刻が前回 setValueAtTime() を呼び出して指定した時刻と等しいか超えている場合、 value は setValueAtTime() に渡された値に変更されます。
• 段階的または漸進的な値変更メソッドが呼び出され、現在の時刻が段階的な値変更を行うべき時間範囲内にある場合、値は適切なアルゴリズムに基づいて更新されます。これらの漸進的または段階的な値変更メソッドには linearRampToValueAtTime(), setTargetAtTime(), setValueCurveAtTime() があります。

このように、パラメーターの value は、時間経過に伴うパラメーターの状態を正確に反映するように維持されます。

この例では、 GainNode の音量を即座に 40% に変更します。

const audioCtx = new AudioContext();
const gainNode = audioCtx.createGain();
gainNode.gain.value = 0.4;
// 次のものと同じ
gainNode.gain.setValueAtTime(0.4, audioCtx.currentTime);

• ウェブオーディオ API の使用