ウェブコンポーネント
ウェブコンポーネントは、一連のさまざまな技術です。これにより、再利用可能なカスタム要素を作成し、その機能を他のコードから分離してウェブアプリケーションで利用できるようにします。
概念と使用法
開発者ならご存知でしょうが、可能な限りコードを再利用することは良い考えです。しかしこれは、以前から、カスタムのマークアップ構造にとって、それほど簡単なことではありませんでした。複雑な HTML (と一連のスタイルやスクリプト)を考えてみて下さい。ときに、カスタム UI の制御をレンダリングするために、コードを書かなければなりません。それに、注意していないと、それらの制御をどう使い回すかで、ページが複雑なものになってしまいます。
ウェブコンポーネントは、上記の問題の解決を目指しています。 ウェブコンポーネントは、3 つの主要な技術からなり、それらを組み合わせて、多目的なカスタム要素を作成します。カプセル化された機能を使うことで、コードの重複を恐れることなく、どこでも再利用することができます。
- カスタム要素
-
カスタム要素とその動作を定義するための、一連の JavaScript API です。以降、ユーザーインターフェイスの中で好きなだけ使用することができます。
- シャドウ DOM
-
カプセル化された「シャドウ」 DOM ツリーを要素に紐付け、関連する機能を制御するための、一連の JavaScript API です。シャドウ DOM ツリーは、メイン文書の DOM とは別にレンダリングされます。こうして、要素の機能を公開せずに済み、文書の他の部分との重複を恐れることなく、スクリプト化やスタイル化できます。
- HTML テンプレート
-
<template>と<slot>要素によって、レンダリングされたページ内に表示されないマークアップのテンプレートを書くことができます。カスタム要素の構造体の基礎として、それらを何度も再利用できます。
ウェブコンポーネントを実装する基本的な流れは、以下に挙げてある通りです。
- ウェブコンポーネントの機能を明示したクラスもしくは関数を作成します。クラスを使用するなら、ECMAScript 2015 のクラス構文に従ってください。 (詳細はクラスを参照してください。)
- 新しく作成したカスタム要素を登録します。
CustomElementRegistry.define()メソッドに、要素の名前、機能が明示されているクラスもしくは関数、またオプションでどの要素を継承するかを渡して下さい。 - 必要なら
Element.attachShadow()メソッドを使って、シャドウ DOM をカスタム要素に紐付けます。通常の DOM メソッドを使って、子要素やイベントリスナーなどをシャドウ DOM に追加して下さい。 - 必要なら
<template>と<slot>を使って、HTML テンプレートを定義します。通常の DOM メソッドを再度使って、テンプレートをクローンし、シャドウ DOM に紐付けてください。 - ページ内のお好きな場所で、通常の HTML 要素のように、カスタム要素を使って下さい。
チュートリアル
- カスタム要素の使用
-
簡単なウェブコンポーネントを作成するために、カスタム要素の機能の使い方を紹介したガイドです。それ以外にも、ライフサイクルコールバックやその他の高度な機能の中を覗いていきます。
- シャドウ DOM の使用
-
シャドウ DOM の基礎を眺めるガイドです。シャドウ DOM を要素にどう紐付けるか、シャドウ DOM ツリーにどう追加するか、どうスタイル付けするかなどを紹介しています。
- テンプレートとスロットの使用
-
<template>と<slot>要素を使って、再利用可能な HTML 構造体の定義と使用方法を紹介したガイドです。
リファレンス
>カスタム要素
CustomElementRegistry-
カスタム要素に関わる機能が含まれています。中でも注目すべきは、
CustomElementRegistry.define()メソッドで、新しいカスタム要素を登録するために用います。それにより、カスタム要素を文書内で使用できるようになります。 Window.customElements-
CustomElementRegistryオブジェクトへの参照を返します。 - ライフサイクルコールバック
-
カスタム要素のクラス定義の中で定義された特別なコールバック関数で、挙動に影響を与えます。
connectedCallback()-
カスタム要素が文書の DOM に初めて接続したときに呼び出されます。
disconnectedCallback()-
カスタム要素が文書の DOM から切断されたときに呼び出されます。
adoptedCallback()-
カスタム要素が新しい文書に移動したときに呼び出されます。
attributeChangedCallback()-
カスタム要素の属性のひとつが追加、削除、もしくは変更されたときに呼び出されます。
- カスタマイズされた組み込み要素を作成するための拡張機能
-
以下の拡張機能が定義されています。
isグローバル HTML 属性-
標準の HTML 要素が、カスタマイズされた組み込み要素のように振る舞うべきかを指定できます。
Document.createElement()メソッドの "is" オプション-
カスタマイズされた組み込み要素のように振る舞う標準の HTML 要素のインスタンスを作成できます。
- CSS の擬似クラス
-
カスタム要素に関連する擬似クラスです。
:defined-
組み込み要素と
CustomElementRegistry.define()で定義されるカスタム要素を含む、あらゆる定義済みの要素に一致します。 :host-
使われている CSS を含む、シャドウ DOM のシャドウホストを選択します。
:host()-
使われている CSS を含む、シャドウ DOM のシャドウホストを選択します。(シャドウ DOM の内側からカスタム要素を選択することができます。)ただし、関数の引数として渡されるセレクターがシャドウホストに一致している場合に限ります。
:host-context()-
使われている CSS を含む、シャドウ DOM のシャドウホストを選択します。(シャドウ DOM の内側からカスタム要素を選択することができます。)ただし、関数の引数として渡されるセレクターが DOM 階層内のシャドウホストの先祖要素に一致している場合に限ります。
:state()-
指定したカスタム状態にあるカスタム要素と一致します。 より正確に言えば、指定した状態が要素の
CustomStateSetに存在する無名カスタム要素と一致します。
- CSS 擬似要素
-
カスタム要素に関連する擬似要素です。
シャドウ DOM
ShadowRoot-
シャドウ DOM サブツリーのルートノードを表します。
Elementの拡張-
シャドウ DOM に関する
Elementインターフェイスの拡張です。Element.attachShadow()メソッドは、シャドウ DOM ツリーを指定された要素に取り付けます。Element.shadowRootプロパティは、指定された要素に取り付けられたシャドウルートを返します。取り付けられているシャドウルートがない場合はnullを返します。
- 関連する
Nodeへの追加 -
シャドウ DOM に関する
Nodeインターフェイスへの追加事項です。Node.getRootNode()メソッドは、そのコンテキストオブジェクトのルートを返します。存在する場合はシャドウルートを含みます。Node.isConnectedプロパティは論理値を返し、そのノードがそのコンテキストオブジェクト(通常の DOM であればDocumentオブジェクト、シャドウ DOM であればShadowRoot)に接続されているかどうかを示します。
Eventの拡張-
シャドウ DOM に関する
Eventインターフェイスの拡張です。Event.composed-
このイベントがシャドウ DOM 境界を超えて標準 DOM にまで伝播する場合は
true、そうでなければfalseを返します。 Event.composedPath-
イベントのパス(リスナーが呼び出されたオブジェクト)を返します。
ShadowRoot.modeが closed でシャドウルートが生成された場合、シャドウツリー内のノードは含まれません。
HTML テンプレート
<template>-
HTML の断片を含みますが、最初に文書を読み込んだときにはレンダリングされず、実行時に JavaScript を使って表示することができます。関連する DOM インターフェイスは
HTMLTemplateElementです。 <slot>-
ウェブコンポーネント内のプレースホルダーで、独自のマークアップで埋めることができます。これにより、別の DOM ツリーを生成し、それらを一緒に表示することができます。関連する DOM インターフェイスは
HTMLSlotElementです。 slotグローバル HTML 属性-
シャドウ DOM のシャドウツリーにあるスロットを要素に割り当てます。
Element.assignedSlot-
読み取り専用の属性で、この要素が挿入される
<slot>の参照を返します。 Text.assignedSlot-
読み取り専用の属性で、このテキストノードが挿入される
<slot>の参照を返します。 Elementの拡張-
スロットに関する
Elementインターフェイスの拡張です。Element.slot-
この要素に取り付けられたシャドウ DOM スロットの名前を返します。
- CSS 擬似要素
-
スロットに特化した擬似要素です。
::slotted-
スロットに挿入されたコンテンツに一致します。
slotchangeイベント-
HTMLSlotElementのインスタンス (<slot>要素) において、そのスロットに含まれるノードが変化したときに発行されます。
例
web-components-examples の GitHub リポジトリーに、いくつかの例を用意してあります。時間とともに、より多くの例が追加されることでしょう。
仕様書
| Specification |
|---|
| HTML> # the-template-element> |
| DOM> # interface-shadowroot> |
ブラウザーの互換性
>html.elements.template
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api.ShadowRoot
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