TextEncoder: encodeInto() メソッド
TextEncoder.encodeInto()
メソッドは、エンコードする文字列と、 UTF-8 エンコード後のテキスト格納先となる Uint8Array
を受け取り、エンコードの進行状況を示す辞書オブジェクトを返します。
これは古い encode()
メソッドよりも潜在的に性能が高く、特にターゲットバッファーが WASM ヒープへのビューである場合、より効果的です。
構文
encodeInto(string, uint8Array)
引数
string
-
エンコードするテキストが入った文字列です。
uint8Array
-
Uint8Array
オブジェクトのインスタンスで、結果の UTF-8 エンコードされたテキストが入ります。
返値
特定の位置にエンコード
encoder.encodeInto()
は常に配列の先頭に出力を行います。
しかしながら、出力を特定の位置から開始できると便利なことがあります。
これは TypedArray.prototype.subarray()
で解決できます。ご覧ください。
const encoder = new TextEncoder();
function encodeIntoAtPosition(string, u8array, position) {
return encoder.encodeInto(
string,
position ? u8array.subarray(position | 0) : u8array,
);
}
const u8array = new Uint8Array(8);
encodeIntoAtPosition("hello", u8array, 2);
console.log(u8array.join()); // 0,0,104,101,108,108,111,0
バッファーの大きさ
JavaScript の文字列 s
を変換するために、完全な変換に必要な出力領域は s.length
バイトより小さくなることはなく、 s.length * 3
バイトより大きくなることはありません。
もし出力の割り当て(典型的には WASM ヒープ内)が短時間であることが予想される場合、出力に s.length * 3
バイトを割り当てることは理にかなっており、その場合、最初の変換の試行で文字列全体を変換することが保証されています。
文字列は 3 バイトに展開されるいくつかの文字でパックされることになるので、 s.length * 3
になることはまれであることに注意してください。
長いテキストが s.length * 2
バイトの長さを超えることはまずないでしょう。
したがって、より楽観的なアプローチとしては、 s.length * 2 + 5
バイトを割り当てて、楽観的な予測が間違っていたという稀な状況下で再割り当てを実行することでしょう。
出力結果の寿命が長いと見込まれる場合、最小割り当てサイズ roundUpToBucketSize(s.length)
と最大割り当てサイズ s.length * 3
を計算し、(メモリー使用量と速度のトレードオフとして)選択した閾値 t
を用意し、 roundUpToBucketSize(s.length) + t >= s.length * 3
なら、 s.length * 3
に対して割り当てるといったことは理にかなっています。
そうでない場合は、まず roundUpToBucketSize(s.length)
を確保し、変換します。
返値の辞書にある read
アイテムが s.length
であれば、変換は完了です。
そうでない場合は、ターゲットバッファーを written + (s.length - read) * 3
に再割り当てし、read
の位置から始まる s
と written
の位置から始まるターゲットバッファーのサブバッファーを取得して、残りを変換します。
上記の roundUpToBucketSize()
はアロケーターのバケットサイズに切り上げる関数です。
たとえば、Wasm のアロケーターが 2 のべき乗のバケットを使うことがわかっている場合、 roundUpToBucketSize()
は引数が 2 のべき乗であればそれを返し、そうでなければ次の 2 のべき乗を返すようにします。
Wasm アロケーターの挙動が不明な場合は、 roundUpToBucketSize()
を恒等関数にする必要があります。
アロケーターの挙動が不明な場合、最大で 2 回の再割り当てを行い、最初の再割り当てでは、未変換の残りの長さを 3 倍ではなく 2 倍にすることができます。
しかし、この場合、すでに書き込まれたバッファーの長さを 2 倍するような通常の実装は意味がありません。このような場合、 2 回目の再割り当てが発生すると、常に元の長さに 3 倍した長さと比較して割り当て回数が多くなってしまうからです。
上記のアドバイスは、ゼロ終端のためのスペースを割り当てる必要がないことを前提としています。
つまり、WASM 側では Rust の文字列か、ゼロ終端でない C++ のクラスを使っていることになります。
C++ の std::string
を使用している場合は、論理長が表示されていても、 アロケーターバケットサイズへの丸めの計算時に余分なターミネータバイトを考慮する必要があります。
C の文字列については、次の節を参照してください。
ゼロ終端なし
入力文字列に U+0000 という文字が含まれている場合、encodeInto()
は出力に 0x00 のバイトを書き込みます。
encodeInto()
は論理出力の後に C 形式の 0x00 終端文字のバイトを書き込みません。
もし自分の Wasm プログラムが C の文字列を使っているなら、0x00
の終端文字を書くのは自分の責任で、 JavaScript の文字列が U+0000
を含んでいれば、自分の Wasm プログラムが論理的に切り詰められた文字列として扱うことを防ぐことができません。
ご覧ください。
const encoder = new TextEncoder();
function encodeIntoWithSentinel(string, u8array, position) {
const stats = encoder.encodeInto(
string,
position ? u8array.subarray(position | 0) : u8array,
);
if (stats.written < u8array.length) u8array[stats.written] = 0; // append null if room
return stats;
}
例
<p class="source">This is a sample paragraph.</p>
<p class="result"></p>
const sourcePara = document.querySelector(".source");
const resultPara = document.querySelector(".result");
const string = sourcePara.textContent;
const textEncoder = new TextEncoder();
const utf8 = new Uint8Array(string.length);
const encodedResults = textEncoder.encodeInto(string, utf8);
resultPara.textContent +=
`Bytes read: ${encodedResults.read}` +
` | Bytes written: ${encodedResults.written}` +
` | Encoded result: ${utf8}`;
仕様書
Specification |
---|
Encoding Standard # ref-for-dom-textencoder-encodeinto① |
ブラウザーの互換性
BCD tables only load in the browser
関連情報
- 所属先の
TextEncoder
インターフェイス。 TextEncoder.encode()